20131230

社会と情報 2: 何が起きているのか?


USCIS(米国市民権・移民業務局)のデトロイト事務所 

< USCIS(米国市民権・移民業務局)のデトロイト事務所 >

今日は、前回の国境警備の事件を検討します。
そこから私達が気付くべき事柄が見えて来ます。


皆さんの反応の多くは以下に要約出来るのではないでしょうか。
1.       犯罪:重大な防衛機密を暴露したことは重大で、告発者の処分は甘すぎる。
2.       英雄気取り:組織を裏切る告発は混乱を生むだけで、どうせ事態は良くならない。告発は腹いせか自己満足だ。
3.       軽率:問題を看過すべきでないが、安全を脅かす新聞社への告発は問題がある。
4.       賞賛:機密暴露による罰則、報復人事による失職の不利益を顧みず行動した勇気に敬服する。

ミシガン州、右下がデトロイト:地図は約一辺800km

< ミシガン州、右下がデトロイト:地図は約一辺800km >

この事件の概要
この事件は米国のカナダ国境線、ミシンガン州デトロイトで起きました。
警備体制は、1300kmの湖岸を一隻のボートで28人が巡視するものでした。
同時多発テロ事件の3ヶ月前、ある男が不法入国で逮捕されたが、その巡視事務所に留置所が無い為、カナダに送り返されていた。
二人の巡視官が、そのテロ事件の容疑者リストにその男の名前があることに気がついた。
そして彼らは、地元紙に国境警備の実情を告発したのです。
その記事が出ると、管理職は彼らに配転と90日の停職処分を言い渡した。
告発者は、合衆国特別顧問局(OSC)に救済を求めた。

OSCのHP

< OSCHP >

三者の言い分
告発者「同時多発テロで殺された人々の為に、私達は国境警備の欠陥を暴露する義務がある。」
管理職「暴露により、国民に無用な不安を抱かせ、国家と同僚を危険にさらした。」
OSC 「国家の安全への懸念が高まっている折、実態を良く知る職員が、弱点を暴露してくれることは、国家と国民への忠誠心の最たるものだ。今回の公表は、機密情報ではない。」

その結果
翌年、OSCはその報復人事を憲法違反とした。
その後、国境警備体制はかなり良くなり、二人は勤務を続けている。

何が起きているのか?
おそらく告発に対する皆さんの反応はバラバラだったでしょう。
日本は先進国の中でも告発に対する意識が低いようです。
しかし、告発は、民主主義社会にあっては非常に有効なのです。
その有効性は、ここ数十年、益々高まりつつあります。
しかし、告発だけが「現代社会の情報」が持っている重要な特性ではありません。
以下、順次、見ていくことにします。



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